主婦が合同会社を設立してみてわかった設立のためのおススメ手順

 

『主婦が起業できると思いますか?』

 

本コラムでは、パート主婦が、起業を考えている人たちに向けて、役立つ情報をお届けします。

はじめに

起業するためには、商号(会社名)、法人の種類、定款など、決めることがたくさんあります。さらに経営すると、取捨選択の連続になろうかと思います。まぁ、私たちが生きていくこと自体、選択の連続だと思いますが(笑)
取捨選択は複数の案からどれが優れているのかと本で調べたり、WEBで調べたりとけっこう大変です。
当然、起業することが目的ではないので、本コラムを参考に少しでも、ある意味余計な取捨選択にかける時間を短縮して、「本業に時間をかけられるように」と願っています。

さて、話は変わりますが、私の職業は専業主婦、自由に使えるお金はあまりありません。
ですので、会社を設立するにあたり目標は「お金をかけずに会社を設立すること」としました。
また、会社を設立するための前提条件として次のようなものがありました。

設立の前提条件

  • 本店所在地の住所は実家(海を隔てるくらい遠い)
  • しばらく(1~2年)は夫の社会保険に加入したまま
  • 基本一人で全てを実施
  • 小さく始める
  • 事業として賃貸業を営む

結論から申し上げると、設立にかかった費用はもろもろで7万円弱です。設立費用の内訳は文末に示します。
以降毎年、法人住民税のため、最低7万円はかかります。
それでは、設立に至る過程を説明します。

1 会社設立の経緯

1.1 夫の転勤がヤダ

正直、数年周期で巡ってくる夫の転勤サイクルから抜け出そうと起業を試みました。なぜなら、どこかで会社員として働いていたとしても転勤ですぐに辞めないとダメだからです。それならいっそのこと、起業して自分が経営すれば、どこに転勤しても食べていける、食べられる、場所を問わないビジネスにすることも可能だと思ったからです。とは言っても、特にこれといってやることも明確に決まっていないまま設立まで至りました。ですので、「個人事業の見通しが立ち、成功する確信があったから法人にした。」などでは全くありません。
だったらなぜ、起業したのかと言いますと、理由は2つあります。
1つは自分で考え、好きなことができることです。自分に裁量と責任が課せられますので、そのやりがいに魅力を感じました。また、副産物として「会社の代表です!」と名乗ることができるようになります、一度言ってみたかったのです(笑)。
もう1つは、法人を設立しているだけで、毎年維持費がかかるので、自分を奮い立たせるモチベーションになると考えました。

1.2 不安に勝る好奇心?!(気になる不動産業界)

実際起業してみないと分からないことがたくさんあります。分からないことだらけで、段々不安になってきます。しかし、そこには不安に勝る好奇心がありました。会社の定款を考えているときに、特にやりたいこともなかったので、自分の好きなことから考えていきました。部屋の間取りや立地を見て考えることが好きだったので、不動産業界が前々から気になっていました。そこで意を決して、「会社がアパート等の不動産を買い、事業として賃貸業を営む。」ということをやってみたいと思い立ちました。
しかしながら、今現在ではまだ本コラムの執筆をしたり、ホームページを作ったりという段階です。

そんなこんなで会社を起業をしてみたら、考えることがたくさんあったので、ひとつづつ丁寧に説明することにします。

2 会社設立に向けて

2.1 なぜ法人?

事業を始める上で、選択肢は大きく2つあります。それは「個人事業主か法人にするか」です。
ある程度以上の所得になると、個人の所得税よりも法人税の方が安くなります。
その意味で、法人と個人事業主の損益の分岐点は、所得が500万だとか600万だとか言われています。だから、個人事業でその額を稼ぐことができたら法人成りをするというものです。御もっともな意見だと思いますので、とりあえず起業したって人は、速やかな「法人所得600万円」を目指さなければなりません。法人成りすると維持費がかかりお尻に火が付いた状態と言えるので、「すぐに何とかしないと」と自分を奮い立たせるモチベーションになります。
次に、個人事業主と法人のメリットとデメリットを表にまとめました。

形態 個人事業主 法人
メリット ・費用がかからない ・信用力高い
・経費の使用できる幅が広い
・本気になれる
デメリット ・信用力が低い
・節税に限界
・設立(6万円)と維持(毎年7万円)に費用がかかる
税務 ・累進課税(最高45%) ・一律(23.2%)
・役員給与は給与所得控除を引くことが可能

 

個人事業主という選択肢もありましたが、長く続けていくなら、法人を立ち上げたほうがいいと思います。なぜなら、自分の本気度が違ってくるので、それが成果にも直結すると思うからです。

2.2 なぜ合同会社?

会社の種類は株式会社、合同会社、合名・合資会社と3種類あります。
結論から言うと、合同会社にした理由は設立費用が安いからです。

中でも知名度が最も低い「合名・合資会社」は無限責任なので、検討の最初から外しました。それぞれのメリット、デメリットは次の表のとおりです。

 

種別 株式会社 合同会社
メリット ・知名度が高い
・上場が可能
・公証人の認証必要なし
・途中で株式会社化も可能
・設立費用が安い
デメリット ・設立費用が高い ・知名度が低い
設立期間 ・最短約3週間(登記申請10日間、登記申請から1週間) ・最短約2週間(登記申請5日間、登記申請から1週間)
備考 ・定款認証手数料と謄本代(5,2000円)
・登録免許税(150,000円)
・定款印紙代(40,000円,電子定款時は不要)
・登録免許税(60,000円)
・定款印紙代(40,000円,電子定款時は不要)

 

特に上場を考えていなく、小さく始めるなら、合同会社が設立費用も安い(差分は142,000円)のでお勧めします。合同会社の場合、会社がさらに大きくなっても、必要な時に株式会社へのスライドも可能です。

2.3 会社設立に向けたクリティカルパス

設立してみたからこそわかった「会社設立のクリティカル・パス」について説明します。

クリティカルパス(経路)とは、必要な時間を積算したときに最長となる一連の活動を意味する。

ウィキペディア(Wikipedia)

つまり、クリティカル・パスとは下図のように、起業のプロセス全体を見たときに、Aが終わらないとBができないなどの関係があるときの最長のプロセスを言います。

クリティカル・パスの例

クリティカル・パスを考えることは、もっとあれを早くから検討しておけばよかったとならないようにするものです。

次の図に示しているのは、法務局申請までのクリティカル・パス(赤線)です。

法務局へ申請までのクリティカル・パス

この図は電子署名を自分ですることを前提としています。自分で電子署名をするためにはマイナンバーカードが必要です。本図ではマイナンバーカード申請から電子署名、法務局への申請までが一番時間がかかりますので、クリティカル・パスとなっています。

2.3.1 構想段階

ここでの構想段階とは設立に必要な具体的な作業(各種申請書の作成等)はしませんが、検討すべき事項(会社名だったたり、定款の目的など)を考えます。この段階はやりたいことが頭の中で具体的な事業として整理されているなら、あまり時間はかからないと思いますが、そうでない場合、一番時間がかかると思いますので、常日頃から考えておくといいでしょう。

2.3.1.1 会社名(商号)の決定と商号調査

「会社名(商号)を何にするかは」ある意味一番頭を悩ませ、時間がかかると思います。会社名を決める手順は人によってさまざまで、由来を考えたり、画数を調べたり、本やインターネットで調べたりと、子どもの名づけに近いものがあります。後悔しないように、熟考して名前を付けた会社は愛着が湧いてくると思います。

また、会社名には英語表記の名前も付けることができますので、現状グローバルな会社を目指していなくても日本語名と併記して定款に記載できるので検討するべきでしょう。

会社名を決定する際には、商号調査というものがあります。

商号調査とは、会社の登記の申請をする前に,設立等をしようとする会社と同一商号で,本店の所在場所も同一の会社が既に登記されていないかどうかを調査すること。

【引用】法務省:オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査について

この商号調査はするものの、実際、同じ住所で同じ名前の会社は出てこないと思います。それより、類似商号調査に時間をかけた方がいいと思います。類似商号調査とは、同一商号や紛らわしい会社とならないためにインターネット等で事前に調査するものです。

また、これらの調査と合わせて、ホームページを立ち上げる際に必要なドメインの調査をしましょう。やり方の詳細は後々書くことにします。

2.3.1.2 本店の所在地

本店の所在地は登記する法務局、税務署等(税務署、都道府県の税務事務所、市町村の役所)の申請先や銀行の融資審査、口座開設の可否に大きく影響します。どのようなときに、悪影響があるかと言うと、例えば、本店の所在地から代表社員の住民票の住所が遠方にあるときで、銀行からの融資や口座開設を受けにくくなります(というか融資はほぼムリ・・・)。つまり、本店所在地の近傍で事業を実施している実態が重要になります。

本店所在地は基本的にどこの住所でも登記が可能です。また、本店の所在地は主に次のような場所が考えられます。

  • 専用の事務所(自宅近く)
  • 自宅(持ち家で戸建て、賃貸、マンション)
  • レンタルオフィス
  • 実家

自宅の近くに専用の事務所を置いた場合、前述のような悪影響はないのですが、毎月高額な賃貸料が発生します。

持ち家戸建ての自宅を事務所と兼ねて使用する場合、同じく悪影響はなく、さらに賃貸料もかからないので、最も合理的な案になります。ただし、公私の分別が難しくなると思います。

自宅が賃貸やマンションの場合、融資等に悪影響はないのですが、事務所の開設はマンションの居住者規則の違反になったり、大家さんの承諾が必要になったりしますので、十分確認する必要があります。

レンタルオフィスの場合、実態があるのか不明確になるため、銀行の融資に悪影響を与える要素になります。また、銀行によっては口座開設も厳しいかもしれません。ただし、手紙、電話の転送機能や会議のできるスペースがあったりと驚くほど高機能なものとなっています。高機能な分だけコストがかかりますが、最低限の機能だけでいいのなら、探せば2,000円/月くらいのものもあります。月2,000円(年24,000円)を安いとみるか、高いとみるかは人それぞれですが、私は年間24,000円の出費は高いと思いました。なぜなら、まだ起業の段階で会社が存在していないので、当然利益はないし、創業できたとしても、どのくらい利益が出る事業になるのかがわからないからです。最初はできるだけ小さく始めたいと思います。

最後に実家の住所で設立した場合、もし実家が遠方だったら、銀行からの融資や口座開設を受けにくくなります。私は賃貸に住んでいて、事業を小さく(コストを抑えて)始めようと考えているので、固定費のかからない遠方にある実家にしました。本店所在地としては基本的にどこでも登記できますが、遠方だと銀行で事業の実施している実態があるのか等色々聞かれます。

2.3.1.3 定款の作成

次は定款の作成について説明します。定款には次のような必要最低限これは書きなさいというものが決まっています。

  • 商号
  • 本店の所在地
  • 目的
  • 社員の氏名、住所、出資額、有限責任の記述

商号と本店の所在地は先ほど説明したとおりとなります。

目的を記載する際に注意したいことは、こんな事業をやってみたいなと考えているのであれば、念のため入れることです。例えば、誰でも手軽にできるインターネットを利用した物販・情報発信などを入れておいて損はないと思います。しかし、あまりたくさん入れすぎると、本当にこんなに沢山事業をやるのですかとツッコミが入るかもしれません(銀行、税務署等)ので、あくまで現実的な範囲でやりましょう。

続いて、社員の出資額についてです。

下記に示すのが、2016年における、合同会社設立時の資本金階級別の件数及び割合になります。

資本金階級別の件数(合同会社設立時)

資本金階級別の割合(合同会社設立時)

【引用】法務省(登記統計):調査年月2016年

合同会社は資本金が少ない会社が多く、資本金100万円未満で約半分、300万円未満で約8割を占めています。資本金が少ない会社が多いとは言え、資本金1円などでは心許なく、やはり取引しようとする人が安心できる額で設定する必要があると思います。私は法人成りではないので、会社設立時から事業が軌道に乗るまである程度資金が必要になると考え、資本金を300万円としました。

2.3.2 マイナンバーカードの取得と電子証明書

会社を安く設立しようとするなら、電子定款は必須です。電子定款を利用しない場合は書面での定款となり、収入印紙代として40,000円がかかります。また、電子定款で提出する場合でも、自分で電子証明書を書き込まないときは、行政書士等にお願いすることになり、時間と費用がかります。マイナンバーカードがあれば、自分で定款の作成・修正が可能になります。

実際の設立に向けた作業をするとき、マイナンバーカードの取得は申請から2~3週間かかりますので、これを一番先に申請しておきましょう。また、電子定款に必要な電子証明書を自分で書き込もうとした場合、下記が必要になります。

  • マイナンバーカード(カード取得に必要な顔写真データを含む。)
  • カードリーダ
  • Adobe Acrobat Reader DC

マイナンバーカード取得における申請方法は、まず通知カードを手元に用意し、WEB上でこちらから申請を行います。

もし、万が一すぐに起業する必要があるといったときに、速やかに対応するため、マイナンバーカードの申請は起業するしないにかかわらず作成しておくことをお勧めします。ただし、デメリットもあります。マイナンバーカードには有効期限があり、電子証明書は5年(更新料200円)、カード自体は10年(更新料800円)で更新が必要になります。

マイナンバーカードで使用する写真は背景が白である必要があるので、私はポスターを裏返し、白地を出して、その前でデジカメにより撮影しました。

次にカードリーダーですが、マイナンバーカードの中に入っている電子証明書をパソコンで読み取るために使用します。カードリーダは機種によってはスマホをパソコンに接続して行うこともできます。使用可能カードリーダ及びスマホ一覧はこちらから。

私は【リンク】ソニー製のカードリーダー(PaSoRi RC-S380)を購入しました。

最後に定款に電子証明書を入れるためにAdobe Acrobat Reader DCが必要になりますが、お高いので、お試し期間(10日間)を利用するのも一つの方法的だと思います。

2.3.3 印鑑の作成

次に時間がかかる作業は印鑑の作成で1週間くらいかかります。また、印鑑の作成には商号(会社名)が決まっている必要があります。

印鑑には色々な種類があり、主に売られているものには3本セットと4本セットがあります。違いは認印が入っているかどうかで、3本セットは実印、銀行員、角印で、4本セットの場合これに認印がついています。

自然人の場合、通常使用する認印と実印は分けておくことが普通ですが、法人の場合、分けないことが多いです。分けるとしたら実印と角印で分けていて、簡単なものは角印を使用しています。ですので、3本セットで十分だと思います。
また、基本的に会社設立にはお金をかけないという方針ですので、安い3本セットという考え方もあります。

期間としては安い印鑑をネットで作成しようとお考えなら1週間くらいかかります。
ちなみに私は下のリンク一番安いものを注文し、1週間くらいで作成できました。

【リンク】コマキハンコ(株式会社IMI)

3本セットで4,480円(専用ケース付き)を購入

2.3.4 代表社員の印鑑証明

代表社員の印鑑登録証明書が必要になりますが、登録したい印鑑を持っていれば、1日でできます。登録は市区町村の役所で行い、登録後、印鑑登録証明書を請求します。

3 法務局への申請

3.1 必要なもの

申請する書類は全部で9つ、以下のものが必要になります。詳しくは【コラム】主婦が合同会社を設立するために法務局へ提出した9つの書類で説明します。

  • 合同会社設立登記申請書
  • 本店所在地決定書
  • 電子定款(CD-RやDVD-R)
  • 登記すべき事項(電子定款と一緒の媒体)
  • 収入印紙6万円(登録免許税)
  • 印鑑届書
  • 払込みがあったことを証する書面と通帳のコピー
  • 個人(代表社員)の印鑑証明書
  • 印鑑カード交付申請書

おわりに

長文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

合同会社の設立費用は66,980円かかりました(各種書類の郵便代除く)。費用の内訳は登録免許税60,000円、カードリーダが2,500円、印鑑セットが4,480円です。

今回は法人の登記申請までを説明しましたので、次回は『主婦が合同会社を設立するために法務局へ提出した9つの書類』について説明します。

お問い合わせいただければ、さらに詳しい情報等も提供することができます。
これからもよろしくお願いいたします。

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